Q 人事評価制度の一つに目標管理制度があります。目標管理でよく相談をいただくのが、社員・部下が高い目標を掲げないというものです。会社の目標と社員の目標を合致させるには、どうしたらいいでしょうか。

A昭和36年の話です。建設機械の小松製作所は、高度経済成長下でブルドーザが売れに売れて、業績が急上昇していました。そんな中、当時の河合良成社長は考えたといいます。

いまは建設ラッシュで建機が売れまくっているが、いずれ貿易が自由化されればグローバル企業であるキャタピラの建機が日本にも輸入される。キャタピラのブルドーザは寿命5,000時間をうたっている。そんなブルドーザが販売されれば、当社のブルドーザは一転売れなくなってしまう、と。

調査の結果、小松製作所のブルドーザの寿命は3,000時間であることが判りました。そこで、河合社長は社員にこうした状況を説明したうえで「マルA作戦」を発表しました。マルA作戦とは「ブルドーザの寿命をあと2,000時間延ばすことを、他のすべての業務に優先させよ」というものです。

中心となるのはもちろん開発部門ですが、社内の全ての部署が、目標に対して自部署に何ができるかを考えて協力しました。その結果、わずか2年間で寿命5,000時間の国産ブルドーザを開発したのです。開発費用10億円、300点あった部品の8割を改造するという、ほとんど新製品開発と同じ労力です。

現在コマツはキャタピラと肩を並べる世界2強ですが、半世紀も前にこのような目標を掲げたことが、現在のコマツの地位を決定づけたと言えます。そして、目標管理という言葉がなかった時代に、会社目標と個人目標を合致させた好例と言えます。