勤務時間外の破廉恥行為に対する処分は?

 令和5年の夏、郵便局職員が通勤電車内でカメラを録画状態にしてリュックに入れ、女性の足元から盗撮しようとしたとして、迷惑防止条例違反で逮捕されるという事件がありました。職員は翌日釈放、2週間後には職員が示談金を払い、被害者は被害届を取り下げる示談が成立、検察は職員を不起訴としました。

 この事件は報道発表されませんでしたが、郵便局は9月にこの職員を懲戒解雇、退職金7割カットの処分としました。これに対して職員側が懲戒解雇無効を求めて裁判を起こしました。  

 一審では、①懲戒条項は刑事事件の有罪者が対象なのに、本件は条例違反であり不起訴、②職員は翌日釈放されて勤務できる状態だった、③報道により郵便局業務に支障が生じたわけではない、④職員(勤続22年)に処分歴はないこと等を理由に、懲戒解雇は無効としました。

 一方、高裁では①職員は1年前から同様の行為を行っていたと供述しており一過性の行為ではない、②行為日の翌日から盗撮処罰法が施行されている、③郵便局側は飲酒運転や盗撮には有罪判決の有無、報道の有無にかかわらず懲戒解雇する原則をミーティング時に職員たちに周知していた④報道されなかったものの郵便局には信用回復措置等の影響があったとして、懲戒解雇有効の判断に転じました。

 地裁と高裁で判断が分かれた難しい事案ですが、量刑を降格(この職員は課長)にとどめるのでは、職場の女性社員と仕事していくことは現実には困難と思われます。社会的にNGと考えられる行為には厳正に対処することを事前に周知しておくことが重要であること、そして懲戒条項の定め方が争いを左右することが教訓でした。