どこからがマタハラ?

妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの示唆

①降格、人事評価等に関する不利益の示唆

  • 上司が、出産した女性部下に,「今後は今までと同じように働けないのだろうから降格しようかな」と言った。
  • 上司が、つわりがひどく仕事ができなかった女性部下に対し「これは人事評価に響くかもよ」と言った。

②業務内容等に関する不利益の示唆

  • 上司が、妊娠している女性部下に対し、「妊婦は急に休むかもしれないから仕事は一切振らない」と言った。

③退職に関する不利益の示唆

  • 上司が、妊娠を報告した女性部下に対し「〇〇さんは辞めるってことだよね」「旦那さんだって働いてるんだから、無理して働かなくても違う生き方があるんじゃないか」と言った。
  • 不妊治療をしている女性部下に対し、上司が「やっと赤ちゃんができたのに業務負荷で流産したなんて言われたら困るから、仕事は辞めてね」と言った。

  • 上司が、妊娠している女性部下に対して「妊婦さんには残業は負担だと思うから、あなたがよいなら業務分担を見直して残業量を減らそうと思うけど、どうかな」と聞いた。
  • 上司が、妊娠中で、体調が悪いのに無理して働いている部下に対し「どうみても体調が悪そうだし、みんなも心配しているから、少し休んではどうか」と言った。

制度利用を理由とする不利益取扱いの示唆

①降格、人事評価等に関する不利益の示唆

  • 上司が、所定外労働制限の利用を検討する部下に対し「妊娠を理由に仕事を減らしたりしたら昇進できませんよ」と言った。
  • 上司が、長期の育児休業の申請を検討する部下に対し「育休1か月で頑張る人と比較して人事評価されるので注意してね」と言った。
  • 上司が、妊娠により軽昜な業務への転換を申し出た女性部下に対し、「業務が軽昜になるから降格しようかな」と言った。
  • 上司が.育児と介護負担のための業務負担軽減等を相談した部下に対し、「うちでは何も制度は用意してないし、かといって事故欠勤なんか使ったら懲戒対象だから」と言った。

②退職等に関する不利益の示唆

  • 上司が、育児による所定労働時間短縮を申し出た部下に対し「そんな制度はうちにはないのでパート社員にでもなってくさだい」と言った。
  • 上司が、介護を理由とした時間外労働制限を申し出た部下に対し「それなら君の代わりに雇う人を検討しよう」と言った。
  • 上司が、育児休業を申し出た有期契約の部下に対し、「次の契約更新はないかもしれないよ」と雇止めを示唆した。

  • 上司が、保育園の延長保育利用を繰り返す部下に対して「残業のない課に異動するお手伝いができるかもしれないから相談してほしい」と言った。
  • 育児による休業を申し出た部下に対し、上司より報告を受けた人事担当者が休業に伴う処置の説明として、「休業すると、その期間分、賞与は減ることになります」と給与規程を示して説明した。

制度利用型のうち、制度利用損害型

①申出に対する言動

  • 上司が、介護休業を申し出た部下に対し、「申請は上に伝えるけど、今人手不足なんだから、わかるだろ」と言った。
  • 上司が、産前休業申請について相談してきた部下に対し、「まだ働けるだろ、もう一度考えろ」と言った。
  • 社員複数名が、介護休暇を申請した同僚1名に対し「休まなくても介護くらいできるはず、もう少し考えろ」と言った。
  • 上司が、妊婦検診のために休暇を取得したいと相談してきた部下に対し「病院は休みの日に行けばいいだろ」といって相手にしなかった。
  • 上司が、女性部下から軽昜業務転換を申し込まれたところ、同制度を知っていたが「そんな特別扱いできるわけないでしょ」と述べた。

②日常的な言動

  • 上司が、女性の部下たちに対し、「同時に育休をとらないように女性社員同士で産む順番を決めてね」と言った。

  • 社員が、同僚に対し「兄弟の結婚式があってどうしても休みたいんだけど、育休の時期を少しずらして代わりにその日に出てもらえないかな」と相談した。

状態嫌がらせ型

①妊娠・出産に関する嫌がらせ

  • 同僚らが、妊娠を伝えた新入社員に対し、「産休泥棒」と揶揄した。
  • 同僚らが、つわりで仕事ができない日が続いていた社員に対し、職場内で「おつわりさん」と呼ぶようになった。
  • 上司や同僚が、妊娠を伝えた社長に対し、「これから忙しくなるのに妊娠するなんて」と言った。
  • 同僚数人が一斉に、出産した社員に対し「出産おめでとう、当分帰って来なくていいよ」というメールを送った。
  • 上司が、妊娠中の部下に対し、「あんた、まだお腹の赤ちゃん小さいのに何ミス連発してんの」「会社に妊産婦がいるなんて嫌だから堕ろせば?」「見苦しいから座らないで」と言った。
  • 上司が、妊娠した社員に対し、「だったらパートになれよ」と言った。
  • 上司が、不妊治療をしている社員に対し、「不妊の治療する前に自分の仕事のクオリティを直せよ」と言った。

②育児に関する嫌がらせ

  • 上司が、子育て中の部下に対し、「今は子育てがいちばん大事なんだから他のことはせずにそっちに専念しなさい。しばらくは仕事ができないね」と言った。

  • 上司や同僚が、社員に対し「体に障るといけないからあまり無理しすぎないでね」と声をかけた。
  • 同僚人数からたまたま同期に、出産した社員に対し「出産おめでとう、ゆっくり休んでください」というメールが送られた。

制度利用型のうち、制度利用嫌がらせ型

①言葉による嫌がらせ

  • 同僚が、育児による深夜労働制限を申し出た社員に対し、「あなただけ深夜をやらないなんて平等じゃない」と言った。
  • 同僚が、育児休業を取ろうか相談した社員に対し、「男が育休なんて普通取るかね」と言った。
  • 上司が、時短勤務制度利用者に対して、同人の仕事について「時短の人は、これだから」と述べた。
  • 同僚たちが、短時間勤務を開始した社員に対して、「誰かのせいで最近仕事が増えたな」と言った。
  • 上司が、深夜労働を制限した社員に対し、「深夜いないAさん」等と呼ぶようになった。
  • 人事部担当が、15時までの短時間勤務者に対し「そもそもあなたは午前中しか仕事をしていないようなもの」と言った。

②言葉以外の行動による嫌がらせ

  • 上司が、所定外労働制限を始めた社員を無視するようになった。
  • 上司が、時間外制限の利用を開始した社員に対して、必要もないのに終業時間ぎりぎりに仕事を振るようになった。
  • 忘年会の出欠を取る際、時短勤務者に対して、「どうせBさんは来られないよね」と言って当該者にだけ出欠の意思確認を行わなかった。
  • 業務遂行上必要な会議等を、出席者の予定が調整可能であるにもかかわらず、時短勤務者が出席することが難しい時間帯に何度も開催した。

  • 業務体制の見直し業務を担当する上司が、部下に対して、「育休はいつ取れるの」と聞いた。
  • 上司が、時短勤務者に対して、実際上時短勤務者では出席は難しい時間帯での開催であったが、他の従業員と同様に毎年恒例の忘年会の出欠の確認を行った。
  • 切迫流産で休暇を取得した社員に対し、「産休まで仕事を休んだ方がいいんじゃないの」「子供のこと考えて仕事を減らした方がいいんじゃないの」と発言した(本人は従前どおり業務遂行することを希望)。
  • 上司が、育児による短時間勤務を開始した部下に対して、「残業はできるだけさせないように配慮するから安心しろ」と言った。