01

内定切り

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応募者から、内定切りをするのですか?と言われました。どう返信したらいいですか?

時枝慎一郎イラスト 時枝

教育関連の会社です。内定者とメールのやり取りをしているとき、内定者からの質問にどう返信したらいいか、というご相談でした。

相談者様のお悩み

社員の募集をかけていて、応募者の中に良い人材がいたので内定を出しました。でも、応募者は他社を第一志望に考えていたようで、内定承諾の返事は1週間待って欲しいとのことでした。珍しいことではありませんので、1週間待ちますと返信しました。

そして、1週間後にこの応募者に連絡したところ、応募者は、もう1週間待てないかと返してきました。

配属予定だった部署の所属長とも協議して、応募者に「内定の話はなかったことにしてください」と返信しました。すると、応募者は「御社は内定切りをするということですか?」と返してきました。

「内定切り」と言われると、マイナスのイメージが強いですし、労働基準監督署にでも行かれたらどうしようとも思いましたので、時枝さんに相談しました。

すると、時枝さんは法律の考え方を判りやすく説明してくれたうえで、この応募者とのメール履歴をすべて読んだうえで返信の文案を考えてくれました。
この文案を応募者に返したところ「わかりました」と返信があり、ほっと安心しました。

時枝からの視点

「内定切り」と一口に言っても、メールや発言の履歴から、本質も対応方法も違ってきます。

このお客様とは、メール履歴をすべて見せてくださる信頼関係ができていましたので、応募者を待たせずに対応できたことで穏便に収まりました。

02

引き抜き

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「転職していく社員が他の社員の引き抜きをしないような仕組みを作れ」という指示がありました。どうすればよいですか?

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上場企業のグループ会社で、専門サービス業の会社です。人事部門の方から人材の引き抜き予防について相談がありました。

相談者様のお悩み

開発職の社員Aから人事部門に相談がありました。この社員の職場には、すでに退職が決まっている社員Xがいるのですが、Xが転職する先の企業が開催するカジュアル面談にAが誘われたというのです。

Aは誘いに応じてXとともに有名なホテルの一室に行きました。すると、そこにはXの転職先の役職者がいて、熱心に転職を勧誘してきたといいます。

幸いこのことをAが人事に話してくれたため、人事はXを呼び出して事実を確認、処分をしました。

しかし役員からは、「社員が人事に話してくれなくても引抜きを予防する仕組みを作るように」と指示がありました。

こうした仕組み作りについては前例がなかったため、時枝さんに相談しました。

すると、時枝さんは法律の考え方を判りやすく説明してくれたうえで、社員の心に刺さる誓約書を作ってくれたうえ、運用の仕方まで一緒に考えてくれたので、仕組みとして定着させることができました。

時枝からの視点

望ましくない行動をとらないよう、社員から一筆を取ることは広く行われています。

しかし、多くが会社からの一方的な要請に終わっています。社員が納得しやすいように書いてあるものは意外と少ないのです。「誓約書も交渉の一つ」という観点で作成することがコツです。

03

中途採用者の初任給

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採用面接で優秀だと思った中途採用者が、入社後、現場で総スカン!社長は減給できないかと言いますが、可能でしょうか?

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卸売業の会社です。中途採用で悩ましいのが、賃金をいくらで提示するかです。つい、前職の賃金、本人が希望する賃金を尋ねがちです。

相談者様のお悩み

中途採用の応募者でこれはという人材がいました。希望年収を尋ねると、600万円と答えました。社長は「投資だと思って採用する」と、この年収で採用するよう指示しました。

ところが、入社後に現場から聞こえてきたのが、「あの人は仕事が全然できない」という声です。次々と良くない評判が耳に入り、現場から総務に何とかして欲しいと言われます。

社長からは給料を下げられないのかと尋ねられたので、時枝さんに相談してみました。

時枝さんは「賃下げは可能という人事コンサルは、紛争の現場を知らず甘い」と言ったうえで、賃金をどう提示するべきだったか、明確に示してくれました。
とても理にかなっていて、なるほど無理がないなと思いました。今後の中途採用に活かしたいと思っています。

時枝からの視点

中途採用の場合、「言うほど仕事ができなかった」という事態に備えた賃金案を最初から提示して契約するかどうかで、全てが決まります。

04

労働基準監督署

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労働基準監督署から来署要求が届いた。法令違反はないと思うのですが、いったい何を言われるのでしょうか?

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製造業の会社です。リーマンショックのときのご相談でした。

相談者様のお悩み

得意先からの発注がぱったり途絶えて、この先どうなるのだろうかと思いました。従業員には休業手当を払して苦しい時期を共にしていましたが、賃金の原資の底が見えてきて、やむなく期間工を雇止めをせざるを得なくなりました。

雇止め通知書の案を作った後、時枝さんに見てもらいました。時枝さんは、雇止めにあたり従業員にいくらかでも支払えないかと尋ねました。しかし、払えるものがまったくない実情を話したところ、時枝さんはせめてということで、キャッシュアウトのない配慮措置を考えて、雇止め通知書に書き足してくれました。期間工との面談では、この雇止め通知書をもとに説明していきました。

やがて、労働基準監督署から来署要求が届きました。幸い、当日は時枝さんにも同行してもらえました。

労働基準監督官は「期間工のA、Bから解雇されたという申告を受けた」と言い、事前に指定した資料を提示するよう求めました。私は、指定資料に加え、雇止通知書を机の上に置きました。時枝さんは、解雇ではなく雇止めであること、会社は代償措置を取ることができず、配慮措置を講じるのが精一杯だったことを説明しました。

労働基準監督官は雇止通知書のところで手が止まり、黙って読んでいました。しばらくして「こんな程度の措置に労働者の署名を受けても、錯誤無効というべきですな」と言って、帰って良いと告げました。

こんな程度と言われましたが、会社のせめてもの措置が認められ、立入調査にならず、是正指導書ももらわず終わりになったことにほっとしました。

時枝からの視点

会社が社員に手渡す文書は、すべて労働基準監督官や裁判官に読まれる前提で作成するのがプロ社労士だと思います。

そこには、コンプライアンスはもちろん、会社の誠実さと良識が伝わるものであるべきだと考えております。