私は、中小企業のおやじです。平成18年に独立してから10年目になります。なにぶん不器用で、今に至るまで恥ずかしい話ばかりなのですが、私がなぜ川口で労務相談業をやっているかをお話しさせていただきます。

「そんな…」肩を落として歩く帰り道で込み上げた創業への思い

時枝慎一郎

代表 時枝慎一郎

まず、創業のきっかけとなった出来事のことです。

30歳を過ぎた頃、私はある人物から巨額の請求を受けました。その人物は、私のせいで大きな損失を被ったと激昂していました。

「お前の女房や娘を売り飛ばしても足りない額なんだぞ」
「損害賠償請求してお前の家なんか差し押さえてやる」

法律にめっぽう強く、弁護士とも渡り合う相手であると聞いて、当時の私は震え上がりました。

本当に自宅を取られてしまうんだろうか。
そうなったら家族にどう説明しよう。

眠れない日が続いた末、弁護士に相談しようと、ネットで検索して池袋にある法律事務所を訪れました。

もっとも、当時の私の給料では、弁護士の相談料も高いと感じられました。そこで、あらかじめ自分なりの対策案を書き出して、それが法律上有効なのかを聞けば、相談の時間を節約できると考えました。

法律事務所を訪れ、相談室で待っていると、弁護士が部屋に入ってきました。私は早速、現状を説明し、自分なりの対策案を話しました。すると、優秀な先生だったらしく、何も本を見ずに民法の条文を挙げて即答されました。

「それをしたとしても、かくかくしかじかで損害賠償請求権は消滅しません」
「えっ、では請求は防げないということですか」
「はい」
「そんな…。他にどうしようもありませんか」
「ありません」

私が絶句していると、
「他に聞きたいことはありませんか。…ないようでしたら終わりにします」

30分の予約が15分で終わってしまいました。

私は、肩を落として帰り道をとぼとぼと歩きました。そして、本当に自分勝手なんですが、次のような思いがだんだんとこみ上げてきました。

「自分が知りたいのは法律についての説明じゃない。そういうやり方はダメだが別のやり方があるとか、対応法はないが請求されたらこう応じればいいとか、こちらの立場にたった話を聞きたかったのに…」

「法律で脅されたくない。法律に強くなりたい」という思いとともに、「自分だったら、相手の立場にたった親身の相談を提供したい。そういうものをみんな必要としているはずだ」との思いが体の奥底からじわじわとこみ上げてきました。

この体験が、私の創業の原点です。単に法律の規定を伝えるだけではなく、相談者が置かれている状況をよくうかがい、相談者の立場に立った親身のアドバイスを提供したい。アドバイスを聞いた相談者に、「安心しました」「いい知恵をもらいました」と穏やかな表情になっていただけるようになりたい。理想にはまだまだですが、そんなアドバイスをひとつでも多く実現させたいと、日々のご相談に取り組んでいます。

今では、この体験をさせてくれた冒頭の人物に感謝しています。

会社全体のことを考え、思いやる人の力になりたい

弁護士会で講話する代表

弁護士会で講話する代表

もうひとつ、私が会社側からの相談しかお受けしていないいきさつをお話します。

私が、社会保険労務士として人材派遣会社の総務人事部門に勤務していたときのことです。派遣先である大手企業の物流倉庫に派遣していたスタッフが、ハンドリフトで荷物を移動していたところ、他社の派遣スタッフに誤ってぶつけてしまうということが起きました。相手は腕の打撲とのことですが、容態は詳しくはわかりません。

上司である事業部長から対応を任された私は、まず、本社の法務部や営業所の所長と打合せをしようとしました。ところが、「それは事業部の仕事でしょう。自分たちは対応する立場にない」とヒトゴトなのです。仕方がないので、事故があった派遣先を担当する営業所担当者を訪ねました。営業所には、その担当者と営業所の経理担当がいました。担当者は入社3年目の20代の男子社員、経理担当は定年前のベテラン女性です。二人は言いました。

「今回の事故って、会社にとって大変なことなんですよね? やることがあったら何でも言ってくださいね。手伝いますから」

そう言って経緯の詳細を説明してくれたり、資料を揃えてくれたりと、定時を過ぎて遅くまで手伝ってくれました。所長に申請していないから残業代もつかないのにもかかわらず、です。

こうして準備をしたうえで、私は被災者との話し合いに臨みました。場所は派遣先の会議室です。派遣先担当者をはさんで、被災者とその派遣会社の営業部長、こちらは私と担当者でした。「被災者」は、最初から大声でまくしたてました。

「俺は左手が利き腕なんだよ。その利き腕が一生使えなくなったら、お前らどう責任を取るんだ?」

こちらはケガをさせた側ですので、ずうっと平身低頭したままお詫びの言葉を繰り返すばかりです。そして、被災者の怒鳴り声がようやくひと段落したとき、こちらの考えていた慰謝料を恐る恐る提示しました。すると、被災者は、

「はっ? なんだ、その額は? 俺をなめてんのか? こっちは労災請求せずに、お前らと派遣先に連帯して訴訟を打つことだってできるんだからな!」

このときの言葉や態度からは想像できませんでしたが、被災者は誰もが名前を知る1部上場企業の総務にいた人だと後から聞きました。どうしていま物流派遣で働いているのかはわかりません。ただ、法律をよく知っていることは話しているだけですぐわかりました。

金額の折り合いがまったくつきそうにありませんでしたので、再検討させてくださいと言ってその場を後にしました。

その後、社内で慰謝料増額の決裁を取り、2回目の話し合いをお願いしました。今度は被災者の自宅です。慰謝料を現金で封筒に入れ、机の上にそれと判るよう置いてから話し始めました。

被災者は今度はすぐに納得し、こちらが準備してきた合意書に署名捺印することになりました。

被災者は、ペンを手にするとこう言いました。

「へっへっへ、緊張しますねえ」

言葉とは裏腹に、さらさらと署名して手際よく印鑑を押しました。一生使えないかもしれないと言っていた左手で、です。

被災者の自宅を出て暑い日差しの中を歩いているうちに、腹立たしさがある思いに変わっていきました。

労働者として自分の権利を主張するのは、なるほど、それはそれでもっともなことだろう。しかし、しょせん自分一人の利益を追っているだけだ。

それとひきかえ、営業所の若い担当者と経理のベテランはどうだ。残業代も出ず、上司に評価されることもないのに、会社のことを、同僚のことを思いやって手伝ってくれた。この人たちは、自分一人の利益を追う者よりも、そして会社の一大事にヒトゴトでいる者よりも、人としてずっと格が上ではないか。会社にとっての宝はこういう社員ではないか。自分は社労士として、会社全体のことを考え、思いやる人の力になりたい。

ポルテー経営法務が労働者からの相談はお受けせず、社長や幹部社員からの相談だけをお受けしているのは、この体験から生まれた私のこだわりがあるからです。

川口市で一番親身な労務相談を提供する社労士チームを育てたい

このようないきさつで労務相談業を始めましたが、やっぱり私は中小企業のおやじです。
社会保険料の請求が来れば、「うわっ、月末にこんなに引き落とされるのか!ホントに社会保険料って高いよなあ」とボヤいています。

職員を募集しようと求人申込書を書き、「これで愛する川口の雇用にわずかだけど貢献できるな」と意気揚々と職安に行ったところに、職員から「この表現は仕事内容に関係ないから削除します」と上から目線で言われてカチンときたりしています。

雇用契約書を作って差し上げた顧問先で、問題社員を雇止めして裁判を起こされたとき、契約書の更新条項が重要な合意として裁判所で認められ、法外な請求が大幅に減額されときは、社長と手を取り合って喜びました。

労務相談業は悲喜こもごも、いや、「喜」が中心の幸せな職業生活を過ごさせていただいています。川口市で一番親身な労務相談を提供する社労士チームを育てたい。そして、会社全体のことを考える人の力に少しでもなりたい。

微力ですが、そんな理想を掲げて日々の業務に取り組んでおります。

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